司法書士事務所

商業登記

商業登記とは、会社法、商法の規定により、会社、商人に関する一定の事項を商業登記簿にする登記をいう。取引の安全を重視する商法の世界において、取引の相手がどのような者か調べる便宜のために、予め一定の事項を公示しておく機能を有する。

商業登記の効力

商業登記簿に記載すべき事項については、登記の後でなければ、善意の第三者(その事実を知らずに取引関係に入った者)に対抗できない(消極的公示力、商法9条1項前段)。
一方、登記の後であれば、商業登記簿に記載すべき事項について、第三者は悪意(知っていたもの)とみなされる(積極的公示力、通説)。ただし、第三者に「正当な事由」がある場合は、当事者はその善意の第三者に対抗できない(9条1項後段)。この「正当な事由」は、災害による交通の途絶や登記簿の滅失・汚損などの場合のみしか認められず、ほとんど認められる余地はない。
さらに、故意又は過失で不実の登記(真実と異なる登記)をした者は、不実を理由として善意の第三者に対抗できない(9条2項)という公信力もある。
商業登記簿

商業登記に関する手続は商業登記法に定められている。
同法において、登記所には次の商業登記簿を備えることとされている(同法6条)。

不動産登記

不動産登記とは、不動産(土地・建物)の物理的現況及び私法上の権利関係を公示することを目的とする登記で、取引の安全を保護するのに役立つ(公示力)。不動産の物理的現況を公示する「表示に関する登記」と、権利関係を公示する「権利に関する登記」の2種類に分かれる。 「表示に関する登記」に関しては土地家屋調査士が、「権利に関する登記」に関しては司法書士が他人から依頼を受け業務を行う事ができる。

不動産登記の効力

不動産に関する物権の得喪変更(物権変動)を第三者に対抗するためには、不動産登記(権利に関する登記)をする必要がある(民法177条)。例えば、不動産を購入した者は、売買契約によって所有権を取得する(民法176条。意思主義)が、その登記を怠ると、第三者に所有権を主張できないという不利益を受ける(場合によっては所有権を失うこともある)。これは、登記を信頼して取引に入った第三者を保護するとともに、このような不利益を受けないために権利者が登記を具備するよう促すことによって、実際の権利関係と登記が一致する状態を維持するためである。これによって、登記を信頼して取引関係に入ることが可能になり、取引の安全が担保されるのである。
ただし、以上とは逆に、実際には無権利者であるのに、権利者であるかのような登記がされていたとしても、これを信頼して無権利者から買い受けた者は保護されない(不動産登記には公信力がない)。もっとも、真の権利者が虚偽の登記の作出に自ら関与していたり、虚偽の登記を知りながら放置していたりして、真の権利者に帰責性がある場合には、民法94条2項(虚偽表示)を類推適用し、登記名義人から善意で取得した第三者は、権利を取得するとする判例がある[1]。これは、一定の場合に限って公信力を認めたのと同様の効果を生むこととなる。
登記請求権

登記上の利益を受ける者を登記権利者,不利益を受ける者を登記義務者といい、登記権利者が登記義務者に対して登記を請求できる権利のこと。

  • 物権的登記請求権

  • 物権変動的登記請求権

  • 債権的登記請求権